「原子軌道」のギモン-最外殻ってどこ?


私たちは「原子は希ガスの電子配置になると安定する」ことを学んできました。
希ガスの電子配置とは、最外殻に8個の電子が入っている状態です。




かぼちゃ、鉛筆を持ってせっせと電子軌道を描いているとき、ひとつのギモンにぶち当たりました。




「最外殻ってどこだよ・・・!」














電子軌道を左のイメージで勉強していたときは湧かなかったこのギモン。
しかし右のような姿を知ってしまった今、最外殻がどこなのか、よく分からなくなってしまったのです。




「最外殻」とは?





各殻には、次の図のような軌道が入っており、各軌道には電子が2個ずつ入ることができます。









※f軌道を描くの、挫折しました・・・。




その電子の入る順番は、次の通りでした。





(引用 東京化学同人発行 「マクマリー有機化学概説」)




結論から言うと、より外側(大きい数字)の殻に電子が1個入ったら、それが「最外殻」になります。




・・・いやまあ、当然なんですけど。




3s→3p→4s→3d→・・・




という順序になっていることで、混乱してしまったのです。




かぼちゃと同じく混乱してしまった方(私だけ?)、一緒に丁寧に見ていきましょう。




最外殻の数え方










1sしかない原子は、第1の殻(K殻)が「最外殻」です。




次に2sに電子が1個入ったら、「最外殻」は第2の殻になります。




第2の殻(L殻)の2sと2p全てに電子が2個ずつ入ったら、




次に3sに電子が1個入り、「最外殻」は第3の殻になります。




そして、第3の殻(M殻)の3sと3pの4つに電子が2個ずつ入ったら、




今度は3dではなく4sに入るのです。




ここで「最外殻」は第4の殻になります。




第4の殻(N殻)の4sに電子が2個入ったら、第3の殻にもどって3dを全て埋め、やっと4pに入ります。




以下第5の殻以降、同様です。








なるほど、最外殻がどこなのかはよく分かりました。




すると新たなるギモンが・・・!




「最外殻が満たされて安定する」ってどういうこと?





教科書には、「最外殻が満たされて安定する」と書いてあったと思います。




Arの場合、第3の殻の3sと3pに電子が合計8個入った状態で安定といわれます。




でも第3の殻には3d軌道が残っていますよね。




思わず言ってしまいました。




「最外殻、満たされてないやん!」




オクテット則





「最外殻が満たされて安定する」という表現は正確ではありません。




これがこのまま適用されるのはNeまでであり、それ以降の原子は「最外殻に電子が8個ある」と安定します。




これを「オクテット則」または「八隅説」といいます。




先ほどのArの場合、「最外殻」が第3の殻のとき、3sと3pに電子が8個入った状態で安定してしまうので、3dに電子が入っていなくてもOKなのです。




最大8個までしか入らない電子軌道の図だと、「最外殻が満たされて安定する」と言ってもよいのでしょうが、本当の姿を知ってしまうと混乱しますね。




これからはオクテット則で理解していきましょう。








ところで、なぜ8個で安定するのかはよくわかりません。




量子力学を勉強すれば分かるのかもしれませんが、今は「それが自然の摂理だから」でいいことにします。




でも飲食業などで働いたことのある人ならこんな経験ありませんか?




ランチタイムのものすごく忙しい時間帯、8人で回すと一番効率がいい職場で、急病などで1人欠けると涙目です。逆に一人多く入ると、狭い厨房がぎゅうぎゅうになってしまって動きづらい。




多くても少なくても働きづらい、ちょうどいい人数があるんですよね。




かぼちゃの今の職場もそうです。




オクテット則ってそういうことなのかなと思いました。



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