「肉汁を閉じ込める」はウソだった!キッチンのアレコレを検証した一冊。

まず表面をこんがりと焼いて、肉汁を閉じ込めます。

このフレーズ、誰でも一度は目にしたことがあるのでは。
ステーキや厚切りの肉を焼くレシピでよく登場しますよね。

でもこれ、ウソらしいですよ…?

「THE FOOD LAB」


先日、娘を連れて行った図書館で偶然手にした一冊。

MIT出身の料理人である著者が「SERIOUS EATS」というサイトに寄稿した料理科学コラムを、一冊の本にまとめたもの。
料理界の数々の「言い伝え」とキッチングッズを科学的に検証しています。
これが岡野の化学で得た知識をキッチンのあれこれに展開して理解する、かなりいい素材だったんです。

例えば、

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100℃に沸騰した湯に手を突っ込んだら大やけどしてしまうのに、 100℃のオーブンの中に手を入れてもやけどしないのはなぜなのか?

食材の加熱方法には何種類かあるけれど、それぞれどういう物理現象なのか?

上手に育てた鉄のフライパンに目玉焼きがこびりつかないのはなぜなのか?

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といった具合です。どれも家庭科(むしろ理科?)の授業で取り上げたら面白そうな内容ばかりですね。

ところで、肉汁の件の真偽、気になりますよね?以下に簡単にご紹介します。

はたして肉汁は閉じ込められるのか?


著者は、冒頭の言い伝えに切り込むべく次の実験を行いました。

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1. まったく同じステーキ肉を2枚用意し、重さをはかる。

2. 次の2種類の手順でステーキを焼く。

A. はじめにフライパンで表面を焼き付けてからオーブンで加熱


B. オーブンで加熱してからフライパンで焼き付ける


※共に内部温度が等しくなるよう、条件を揃えてあります。


3. 焼き上がったステーキの重さをはかり、1と比較する。

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表面を焼いて肉汁を閉じ込めるというテクニックが科学的に正しければ、Aの手順で作ったステーキの方が重いはず。肉汁が流れ出さないはずですもんね。逆にBの手順で作ったステーキは、肉汁が流れ出すため軽くなってしまうはず。

すると…

結果はなんと、焼き上がった2つのステーキの重量はほぼ等しかったんだそうです。表面をこんがり焼いたって、肉汁は閉じ込められないんです。今まで疑いもせず信じてましたよ。

この例に限らず、料理にはまことしやかに語り継がれる「言い伝え」がたくさんありますよね。

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・パスタに塩を入れるのは、沸点を上げるため。


・冷蔵庫から出した肉は焼く前に室温に戻すとよい。


・ゆで卵は水からゆでましょう。


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これらに対する著者の実験と考察に、「そうだったのか!!」と膝を打つこと多数。どれもちょっと実験してみればわかることなのですが、忙しい毎日の中では、なかなかできませんよね。
しかし真の意味でこの本に学ぶならば、著者の実験結果を鵜呑みにせず、自ら検証してみなくてはいけません。追い追いやっては記事にしてみたいと思います。

とりあえず今年のクリスマスは、著者のオススメする真空調理のテクニックを使って、おいしいステーキを焼いてみる予定です。

コメント

  1. このブログで紹介されている書籍、すごく面白そうですね!
    私も肉汁を閉じ込めるために、表面に焼き目をつけてました。
    意味がなかったんだと、プチショック。
    食べるの大好き、料理大好き(でも後片付け嫌い…)なので、
    私もこの本を読んでみたいと思います。
    興味をそそられる本の紹介、ありがとうございました!

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  2. moncanaさん
    コメントありがとうございます!
    スクランブルエッグ1つとっても、
    「クリーミーに仕上げたいなら絶えずかき混ぜ、軽く仕上げたいならなるべくいじらない」など、
    すぐに使えるテクニック満載です。
    ぜひ読んでみて下さいね。
    ところでご存じだったら教えて頂きたいことが・・・。
    訳文中にどうしても意味がわからない一節があったんです。
    「ぼくはマサチューセッツ工科大学へ進んだ。
     ・・・(中略)・・・(学生が)冬に履く靴は平均3分の2足という、あの科学の殿堂だ。」
    3分の2足とは??意味が分からなくてしばらく考え込みました。
    英語圏では当たり前のジョークなんでしょうか?

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