第44週 当業者にとっての暗黙知
先週に引き続き、レジスト関連の日本語明細書を読んでいます。
リソグラフィ関連の知識がだいぶ収集できたのか、新しい明細書を読んでも「初めまして」の単語が少なくなってきました。とはいえ、まだまだ知識が断片的なので、インプットしながら体系化していきたいと思います。
それにしても半導体プロセスは微細化が進みすぎて、もう神様の領域なんじゃないかと思ってしまいます。そんな神様の技術に必死でついて行きます。
先週読んでいた富士通のレジスト特許を図解化してみました。
[su_note note_color="#ffffff"]
特開2001-154366
出願人:富士通株式会社
発明の名称:「ケイ素含有ポリマを含むレジスト組成物を用いるパターン形成方法」
[/su_note]

二層レジスト法の上層に使用する、化学増幅型レジストの特許です。
��の種類が多すぎてかなり混乱しましたが、こうやって整理すると後で見返してもよく分かります。
��mindで作ってみようと思ったのですが、「構造式中のRから引出線を書く」みたいな処理ができなくてpptにしました。もっとスマートに図解化する方法があれば、どなたか教えて頂けると嬉しいです。
ところでこの明細書中に「本発明で用いるケイ素含有ポリマの重量平均分子量は、ポリスチレン換算で、1500〜1000000が好ましく・・・」との一文がありました。「なぜポリスチレン換算」なのだろう?と調べたところ、これは「ゲル浸透クロマトグラフィーを使用して測定した」という情報が隠されていることが分かりました。
ポリマーの分子量測定法として、最も広く用いられている方法であり、サイズ排除クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィーとも呼ばれています。
これは「サイズ排除機構」を原理としたもの。つまり、多孔質充填剤の入ったカラムに試料を流すのですが、分子サイズの小さいものは多孔質充填剤の細孔の奥まで浸透しながらゆっくり進むため溶出に時間がかかりますが、分子サイズの大きいものは細孔に入らないので短い時間で溶出します。GPC法ではあらかじめ標準試料を使って検量線を作成しておき、溶出時間から試料の分子量を求めるというものです。

しかし、この溶出時間は分子量だけで決まるものではなく分子構造によっても変わってしまいます。下の図はポリスチレン(PS)とポリエチレン(PE)で作成した検量線ですが、同じ溶出時間でも分子量が異なっています。
そのため検量線は測定対象の構造に近い標準試料を使って作成する必要があり、得られる結果はあくまで「標準ポリマーと同一構造であると仮定した場合の分子量」となります。よって冒頭の「ポリスチレン換算で」という一文が必要になるわけです。
※ゲル浸透クロマトグラフィーについてはこちらを参考にさせて頂き、画像もこちらからお借りしました。
引用:東ソー分析センター技術試料 GPC法(SEC法)入門講座
http://www.tosoh-arc.co.jp/techrepo/files/tarc00297/t1001y.html
この他にも、「共沸により水抜きして・・・」という実験操作ではディーン・スターク装置を用いたのかな?など、当業者にとっては暗黙知である「わざわざ書かれていないこと」がいくつか見つかりました。こういう知識をどんどん蓄積していきたいと思います。
��ディーン・スターク装置についてはこちらのサイトにお世話になりました!)
リソグラフィ関連の知識がだいぶ収集できたのか、新しい明細書を読んでも「初めまして」の単語が少なくなってきました。とはいえ、まだまだ知識が断片的なので、インプットしながら体系化していきたいと思います。
それにしても半導体プロセスは微細化が進みすぎて、もう神様の領域なんじゃないかと思ってしまいます。そんな神様の技術に必死でついて行きます。
図解化
先週読んでいた富士通のレジスト特許を図解化してみました。
[su_note note_color="#ffffff"]
特開2001-154366
出願人:富士通株式会社
発明の名称:「ケイ素含有ポリマを含むレジスト組成物を用いるパターン形成方法」
[/su_note]

二層レジスト法の上層に使用する、化学増幅型レジストの特許です。
��の種類が多すぎてかなり混乱しましたが、こうやって整理すると後で見返してもよく分かります。
��mindで作ってみようと思ったのですが、「構造式中のRから引出線を書く」みたいな処理ができなくてpptにしました。もっとスマートに図解化する方法があれば、どなたか教えて頂けると嬉しいです。
ところでこの明細書中に「本発明で用いるケイ素含有ポリマの重量平均分子量は、ポリスチレン換算で、1500〜1000000が好ましく・・・」との一文がありました。「なぜポリスチレン換算」なのだろう?と調べたところ、これは「ゲル浸透クロマトグラフィーを使用して測定した」という情報が隠されていることが分かりました。
GPC法 (Gel Permeation Chromatography;ゲル浸透クロマトグラフィー)
ポリマーの分子量測定法として、最も広く用いられている方法であり、サイズ排除クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィーとも呼ばれています。
これは「サイズ排除機構」を原理としたもの。つまり、多孔質充填剤の入ったカラムに試料を流すのですが、分子サイズの小さいものは多孔質充填剤の細孔の奥まで浸透しながらゆっくり進むため溶出に時間がかかりますが、分子サイズの大きいものは細孔に入らないので短い時間で溶出します。GPC法ではあらかじめ標準試料を使って検量線を作成しておき、溶出時間から試料の分子量を求めるというものです。

しかし、この溶出時間は分子量だけで決まるものではなく分子構造によっても変わってしまいます。下の図はポリスチレン(PS)とポリエチレン(PE)で作成した検量線ですが、同じ溶出時間でも分子量が異なっています。

※ゲル浸透クロマトグラフィーについてはこちらを参考にさせて頂き、画像もこちらからお借りしました。
引用:東ソー分析センター技術試料 GPC法(SEC法)入門講座
http://www.tosoh-arc.co.jp/techrepo/files/tarc00297/t1001y.html
この他にも、「共沸により水抜きして・・・」という実験操作ではディーン・スターク装置を用いたのかな?など、当業者にとっては暗黙知である「わざわざ書かれていないこと」がいくつか見つかりました。こういう知識をどんどん蓄積していきたいと思います。
��ディーン・スターク装置についてはこちらのサイトにお世話になりました!)
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