内視鏡下手術の難しさを体験してみた
健康未来EXPOで体験したいことの一つは、ダヴィンチの操作です。
ダヴィンチとは、米Intuitive Surgical社によって開発された、手術支援ロボットのこと。鋏や鉗子などの器具を取り付けたロボットアームを、術者が操作して手術を行います。現在、国内の病院には237台が導入されており(2016年時点)、現在では前立腺がん手術をはじめとする14件の手術に保険適用されており、患者側も選択しやすくなっています。
従来の内視鏡下手術とダヴィンチを使ったロボット支援手術の利点・欠点について調べました。
従来の内視鏡下手術の欠点
- 鉗子に関節がないため自由度が少ない
- 腕の動きと鉗子の動きが逆方向になる
- 2D映像のため術野の奥行きが感知できない
ダヴィンチの利点
- 鉗子に関節があること、可動域540°で手首より広いこと、術者の動きが忠実に再現されることにより、 操作性が良い
- 右眼用と左眼用のカメラで捉えた視差のある映像を使用するため、 術者の視覚感覚に近い
- スケーリング機能(縮尺1/5、つまり手を10cm動かしても鉗子は2cmしか動かない)及び手ぶれ防止機能により、 非常に精緻な作業が可能
ここで疑問に思ったのは、「 内視鏡下手術では腕の動きと鉗子の動きが逆方向になる」 とは一体どういうことなのか?ということ。明確な解答を見つけることが出来なかったのですが、こういうことかなと想像しました。

術者は患者の側方に立ち、カメラの映像を表示したモニターを見ながら鉗子等を操作します。カメラが術者側にあると動きにくいため、カメラは図のような位置に配置され、術野を撮影します。その結果、カメラの撮影方向と術者の視線方向が異なるため、上記の問題が発生するのではないでしょうか。(術者側にカメラが配置されることもあるようなので、一概には言えないのですが・・・。)
とすると、どのくらい操作が難しいのでしょうか?健康未来EXPOに一緒に行く娘を巻き込んで実験してみました。
実験
準備したもの
- スマホ2台
- マジックハンド2個
- 輪投げ
- 目隠し用の布
実験内容
マジックハンドを使って輪投げの輪をつかみ、棒に通していきます。その様子を1台のカメラ(スマホ)で横から撮影し、その映像を表示させたモニター(もう一台のスマホ)だけを見ながら操作します。1回目は肉眼で見ながら、2回目はモニターの映像だけを見ながら操作し、4個の輪を全て棒に通すのにかかった時間を計測しました。追加としてカメラの位置を変えて、同じ操作をしてみました。

まずは1回目。肉眼で見ながらの操作です。マジックハンドの操作に苦戦しつつもなんとか4個の輪を通すことが出来ました。

そして2回目。目隠しの布で視界を遮り、スマホの映像だけが頼りです。

手こずっております。
やはりマジックハンドの動きとモニターで表示される動きが違うため、 思った方向にマジックハンドが動きません。カメラの視野も狭いため、見たいところが見えません。苦戦しているうちに3分経過しタイムオーバー。1つも棒に通すことが出来ませんでした。
最後にカメラの位置を変え、目隠し布のすぐ後ろに、娘の視線と同じ方向に配置して、同じ操作をしてもらいました。すると少し時間がかかりましたが、すべて棒に通すことが出来ました。その後私も同じくタイムを測ってやってみた結果がこちらになります。

肉眼とモニター越しとで大きな差が出ました。また、同じモニター越しでもカメラの位置を変えるだけでタイムが大幅に短縮できました。視線方向が同じになるだけで、かなりやりやすかったです。
ダヴィンチでは術者は患者の側に立ちません。そのため術者の視点側にカメラを配置することが出来るので、上述の問題が解決されているのではないかと想像しています。当日、ブースの方に質問してみたいと思います。
娘には今回の実験の目的を説明してみましたが、ピンときていない様子。まだ8歳なので、言葉で説明しても分かりませんよね。実際にダヴィンチを操作してみて、今回の実験との差を感じてくれるといいなと思っています。
Ayumiさん、コメントありがとうございます!
返信削除お褒めの言葉を頂けるなんて、マジックハンドを買いに走って良かったです(笑)。
こちらこそいつもAyumiさんのブログからたくさんのことを勉強させていただいてます。
マインドマップの作り方など特に!
イベントまでに読みこむ特許群の整理に大活躍しています。
イベントまであと半月、準備万端で臨みたいと思います。
かぼちゃさん、
返信削除今回の記事、とても興味深いものでした。
家にあるもので(子供含めて)、
こんな風な視点を持つことができるのか!!と衝撃でした。
大変勉強になりました。
私も見習いたいと思います。
ありがとうございます!