電気陰性度
原子Xと原子Yの結合の種類には、
イオン結合と共有結合があることを学習しました。
しかし、はっきりとイオン結合または共有結合になっている場合は少なく、
ほとんどの結合はそれらの中間の状態となっています。
つまり、原子Xと原子Yのどちらかに電子が引き寄せられ、偏っている状態です。
分子内に存在する電気的な偏りを「極性」といい、
極性がある結合を「極性共有結合」といいます。

XとY、どちらに電子が引き寄せられるかは、
その原子の電気陰性度を見ればわかります。
電気陰性度
電気陰性度とは、ひとことでいうと「電子大好き度」です。
電子が大好きな原子ほど、電子を引き寄せます。
例えば
Xの電気陰性度 > Yの電気陰性度
ならば、電子はXの方に偏ります。
分子XYの中で電子が偏ると、
電子を引き寄せているXはわずかに負に帯電し、
Yはわずかに正に帯電します。

そうすると、負に帯電しているXには、正に帯電している他の原子Aが近寄ってきます。同じく、正に帯電しているXには、負に帯電している他の原子Bが近寄ってきます。するとXとA、またはYとBが反応し始めます。化学反応はこのようにして始まるのです。
それでは極性を生じさせる電気陰性度とはどんなものなのか、詳しく見ていきましょう。
電気陰性度
電気陰性度とは「電子大好き度」とご説明しました。
その理由は、電気陰性度はイオン化エネルギーと電子親和力の平均値によって決まるからです。(※マリケンの定義による。典型元素以外では不正確。)
イオン化エネルギーは「電子手放したくないエネルギー」、
電子親和力は「電子欲しい力」だと思って下さい。
「電子を手放したくない」+「電子欲しい」=「電子大好き度」
になり、この2つが大きい原子は電気陰性度が大きくなります。
① イオン化エネルギー
イオン化エネルギーとは、原子が陽イオンになるために必要なエネルギーです。

電子を手放して陽イオンになりやすい原子は、周期表の左側にいましたね。
陽イオンになりやすいということは、エネルギーはあまり要りません。
だから左側の原子(1族、2族)は、イオン化エネルギーが小さくなります。
反対に、17族などの右側の原子は、あと1つ電子をもらえば安定します。
電子を手放している場合じゃありません。彼らにとって電子を手放すのはとてもつらいことなので、陽イオンになるためのエネルギーはとても大きくなります。18族の希ガスに至っては、せっかく安定しているのに電子を手放すなど考えられません。
よって、周期表の右側に行くほど、イオン化エネルギーは大きくなります。
さらに、周期表の上に行くほどイオン化エネルギーは大きくなりますが、
これは原子半径が関係します。
原子核が電子を引きつける力をクーロン力といいますが、これは距離の2乗に反比例します。よって、距離が近いほどクーロン力は強くなります。
つまり、原子核と電子の距離が近い=原子半径が小さいものほど、
電子を手放しにくいということになります。
手放しにくければイオン化エネルギーも大きくなります。
以上より、周期表の右上に行くほど、イオン化エネルギーが大きくなるのです。
これが「電子手放したくないエネルギー」です。
② 電子親和力
電子親和力とは、電子を1つ取り込んで、1価の陰イオンになるときに生じるエネルギーです。
つまり、「電子欲しい力」です。
電子が欲しいのは、周期表の右側、陰イオンになりやすい原子でした。
ということは、次のようになります。

※18族の希ガスはすでに安定しているので、もう電子は欲しくありません。よって電子親和力は最小になります。
そして、電気陰性度は①イオン化エネルギーと②電子親和力の平均なので、電気陰性度はこのようになります。

これをふまえて周期表を見れば、どの原子の電気陰性度が大きいかだいたいわかるのですが、大きさの順番を覚えておくと便利です。
F>O>N=Cl>C>H>金属
ネット上にいろんな語呂合わせがありますので、
自分が覚えやすいものを探してみて下さいね。
※2019年2月19日 修正・加筆しました。
イオン結合と共有結合があることを学習しました。
しかし、はっきりとイオン結合または共有結合になっている場合は少なく、
ほとんどの結合はそれらの中間の状態となっています。
つまり、原子Xと原子Yのどちらかに電子が引き寄せられ、偏っている状態です。
分子内に存在する電気的な偏りを「極性」といい、
極性がある結合を「極性共有結合」といいます。

XとY、どちらに電子が引き寄せられるかは、
その原子の電気陰性度を見ればわかります。
電気陰性度
電気陰性度とは、ひとことでいうと「電子大好き度」です。
電子が大好きな原子ほど、電子を引き寄せます。
例えば
Xの電気陰性度 > Yの電気陰性度
ならば、電子はXの方に偏ります。
分子XYの中で電子が偏ると、
電子を引き寄せているXはわずかに負に帯電し、
Yはわずかに正に帯電します。

※「わずかに」は「δ(デルタ)」で表現し、それぞれ「δ-」「δ+」といいます。
そうすると、負に帯電しているXには、正に帯電している他の原子Aが近寄ってきます。同じく、正に帯電しているXには、負に帯電している他の原子Bが近寄ってきます。するとXとA、またはYとBが反応し始めます。化学反応はこのようにして始まるのです。
それでは極性を生じさせる電気陰性度とはどんなものなのか、詳しく見ていきましょう。
電気陰性度
電気陰性度とは「電子大好き度」とご説明しました。
その理由は、電気陰性度はイオン化エネルギーと電子親和力の平均値によって決まるからです。(※マリケンの定義による。典型元素以外では不正確。)
イオン化エネルギーは「電子手放したくないエネルギー」、
電子親和力は「電子欲しい力」だと思って下さい。
「電子を手放したくない」+「電子欲しい」=「電子大好き度」
になり、この2つが大きい原子は電気陰性度が大きくなります。
① イオン化エネルギー
イオン化エネルギーとは、原子が陽イオンになるために必要なエネルギーです。

電子を手放して陽イオンになりやすい原子は、周期表の左側にいましたね。
陽イオンになりやすいということは、エネルギーはあまり要りません。
だから左側の原子(1族、2族)は、イオン化エネルギーが小さくなります。
反対に、17族などの右側の原子は、あと1つ電子をもらえば安定します。
電子を手放している場合じゃありません。彼らにとって電子を手放すのはとてもつらいことなので、陽イオンになるためのエネルギーはとても大きくなります。18族の希ガスに至っては、せっかく安定しているのに電子を手放すなど考えられません。
よって、周期表の右側に行くほど、イオン化エネルギーは大きくなります。
さらに、周期表の上に行くほどイオン化エネルギーは大きくなりますが、
これは原子半径が関係します。
原子核が電子を引きつける力をクーロン力といいますが、これは距離の2乗に反比例します。よって、距離が近いほどクーロン力は強くなります。
つまり、原子核と電子の距離が近い=原子半径が小さいものほど、
電子を手放しにくいということになります。
手放しにくければイオン化エネルギーも大きくなります。
以上より、周期表の右上に行くほど、イオン化エネルギーが大きくなるのです。
これが「電子手放したくないエネルギー」です。
② 電子親和力
電子親和力とは、電子を1つ取り込んで、1価の陰イオンになるときに生じるエネルギーです。
つまり、「電子欲しい力」です。
電子が欲しいのは、周期表の右側、陰イオンになりやすい原子でした。
ということは、次のようになります。

※18族の希ガスはすでに安定しているので、もう電子は欲しくありません。よって電子親和力は最小になります。
そして、電気陰性度は①イオン化エネルギーと②電子親和力の平均なので、電気陰性度はこのようになります。

※正確にいうと、電気陰性度とは分子内の原子が電子を引き寄せる強さの相対的尺度です。希ガスは共有結合を作らないため、希ガスの電気陰性度は定められていません。詳しくは第25週の記事をご覧下さい。
これをふまえて周期表を見れば、どの原子の電気陰性度が大きいかだいたいわかるのですが、大きさの順番を覚えておくと便利です。
F>O>N=Cl>C>H>金属
ネット上にいろんな語呂合わせがありますので、
自分が覚えやすいものを探してみて下さいね。
※2019年2月19日 修正・加筆しました。
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